過去のHPコラム(1999.3〜2000.6)

 【早起きとテレビと】 (2000/06/10)
 朝4時半に起きる生活も気がつけば2ヶ月を超えました。「そろそろ早起きも慣れたでしょう?」などと言われますが、これが全く慣れません。この分だと1年後も同じ事をぼやいていることでしょう。
 しかし、世の中には、こんなことで音を上げない立派な方がたくさんいることを知り、頭が下がります。
 たとえば、4チャンネルニュースプラスワンでお天気やってる木原さん。毎日夕方7時前、日テレ前の路上で、近くのチビッコと「また明日、ばいばい」てやってますよね。ところが木原さん、私が4時半に起きてつけるテレビに出てきて「今朝3時に局入りしたときは小雨が降ってましたが、この時間はやんでます」なんて言ってる。
えー!木原さんどんなサイクルで生活してるの?
 TBSの早い方のエクスプレスやってる清原嬢に半年ほど前会ったとき「毎日2時起きなんです」なんて話を聞いたときは「へえ、そおなの」ぐらいの返事しかできなかったけど、今は尊敬しております。
彼女の水着写真集が出たの出ないのって話をスポーツ紙で見たとき「誰が買うのかね」なんて思っていたけれど、早起きおじさん達が、ある種、強い連帯感感じて、応援したくて買っちゃうのかもねと、納得できる気がします。
 さて、私も、来週(6月12日)から、縁あって静岡の夕方のテレビを週3日程やることになり、週5日の大学院通いと合わせ、こりゃ大変なことになったものです。がんばります。
 そんなわけで、その分、飲みにも行かず、体を横にしてテレビを見たりしてるんですが、本日、夕方のニュースを見ていたら、「選挙まであと○○日」特集物をやっていました。 栃木一区、失楽園男と言われた、船田一候補が逆風のなかがんばってる、というやつでした。ここで妻の旧姓、畑恵さんが後援会の人達を前に涙ながらにあいさつするんですが、いきなり、元NHKらしからぬ失敗をしちゃうんです。

「お高いところからごあいさつをさせていただき、、、」

 自分の立つところに「お」つけてどうすんだ!と思わずテレビに突っ込んでしまったのは、私が彼女に好意を抱いていないからなんでしょうね。
 更に彼女が別の、小さな集会に言ったとき、座敷に集まった人たちに「お足をもっとくずされてください、くずされてください」
 と、馬鹿丁寧すぎて結局はまちがった、わけのわからない敬語を連発。
「田舎もんには下手に出とけばまちがいない」ぐらいに思ってんのかなあ、とこれも悪意にとってしまった。

 また、これは別のニュース。ひき逃げして恐くなり、18歳のガールフレンドを誘って湯西川温泉に行き、彼女を凍死させたとんでもない男がいましたよね。あいつが泊まったホテルの支配人が出てきて 「ええ、あのお二人はたしかフリーのお客様でした」などという。
 ボーっときいてりゃ、振りの客かあ…で済むものを、ご丁寧にスーパーで「フリーのお客」となぞっている。 フリーじゃないでしょ。「馴染みでない、初顔の客」なら「振り」ですよね。「フリー」じゃあ、「無料の客」になっちゃうじゃない!などとこれまたテレビに突っ込みを入れてしまいました。

 しかし考えて見れば、テレビに突っ込みを入れるぐらいしか楽しいことが無い、というのもいけないし、つらいなあ。 がんばりまーす。
(2000/06/10)


 【宝塚はそんなにマイナーか?】 (2000/05/08)
 姿月あさとの退団、さよなら公演についていくつかのテレビ番組が報じていたが、予想してはいたもののどれもこれもワンパターンのお粗末報道だ。
 レポーターが「2000人しか入場できないのに1万人も客が集まっている。ひゃあびっくり。」「チケットにプレミアがついて、一枚が四十万円とも80万円ともいわれている、ひえー」「ベルバラ以来の出来事、とのことなんですって、すっごい」などとわざとらしく興奮気味に、スポーツ新聞で仕入れたネタをしゃべりちらす。不勉強なので組の名前を間違えたり、タカラジェンヌを宝塚ジェンヌと言ったり、ズンコ(姿月のニックネーム、ファンはみんなこっちで呼んでいる)をジュンコと言ってみたり、めちゃくちゃ。
 レポーターの話を受けるスタジオの司会者やコメンテーターも「女が女に熱狂することの社会病理」なるものに話をもって行こうとする馬鹿や、「宗教みたい」と間抜けなコメントを述べたり、「日本も平和ですね」などと訳の分からないことでしめようとしたりと、これまた見当違いもはなはだしいやりとりに終始。 要するに宝塚なるわけの分からないマイナーな大衆芸能に変な人達が熱狂してる奇怪な現象、ぐらいにしか宝塚を捉えていないし、そういう捉えかたがマスコミ的には正しいのだと判断しているふしがある。それ以上踏み込んだ感想など述べると「変な人」「変わった人」「偏った人」との烙印を押されてしまう。勝負コメントは別のニュースにとっておこう」こんな浅はかな判断がしゃべり手にも作り手にもあるような気がしてしょうがない。
  しかし、宝塚は決して不勉強なマスコミ人が思うほどマイナーではないのだ。 兵庫の大劇場と東京1000デイズ劇場、バウホール、全国公演合わせて毎年200万人を動員し、少なくともチケット入手が困難であるとか言う理由で実際には見に行けない人もいれればその5倍、1000万人程の熱心なファンが全国で宝塚の舞台やジェンヌに熱い思いをおくっているのだ。WOWOWの加入動機に「宝塚スターの小部屋」をあげる人がどんなに多いか御存知か?この12月から始まるBSデジタル放送を前に、宝塚というソフトが各局奪い合い状態という現実をどう考えるのか? 大正の初めから、90年にもなろうという歴史と伝統にささえられ、世界で唯一の女性だけのミュージカル集団。 モーニング娘のメンバーの名前を覚える暇があったら、放送前に、少しは宝塚についての興味の触覚ぐらい出しておくのが芸能を伝えるものの役目だろう。 宝塚をなめるな!
(2000/05/08)


【大学院に通って…】 (2000/05/08)
 12年続いた本気でドンドンが思わぬことで終わりを告げ、すったもんだの挙げ句、4月からは「チャレンジ梶原放送局」(ラジオの文化放送、6時55分から9時55分)が始まりました。
 ドンドンは聴取率も益々健闘しており、よもや終わることなど想像していなかったもので、去年の夏から、ドンドンが続く前提で、夜間の大学院(臨床心理学)を目指して予備校通いなどしておりました。
  ところが急転直下朝4時半起きの毎日がやってくるとのことが決まり、夜9時10時までの学校ではきつすぎると、志望校も昼開校しているところに絞り込み、結局は運良く希望どうり、昼夜開校の東京成徳大学大学院に滑り込むことができました。 それでも睡魔が襲う午後の昼下がり、20代の元気いっぱいの学生たちと机を並べて、フロイトだのユングだの、意識と無意識の間だのの授業聞きつつ、意識不明に陥る日々が続いています。
  クラスメートは、聖心だの白百合だのポン女だのといったお嬢様系大学の心理を出た方が多く、臨床心理士をめざす真面目な方ばかり。いやあ、今の学生、男子も含めてまあ、驚くほど勉強熱心でおとなしくてまじめですなあ。 この大学院で一体何をしようというのかについてはまた続編を書かせていただきます。
(2000/05/08)


 【大学院】 (2000/02/24)
 「タレント梶原しげる(49)が東京成徳大学大学院心理学研究科に合格していた事が18日わかった。」
 19日土曜日の日刊スポーツ始め何紙かの新聞で報じていただいたように、私50歳を前にしたこのたび約30年ぶりにキャンパスの人になろうという訳です。
 この半年ほど大学院受験の為の予備校に通い、心理学、小論、英語の授業を受け、苦労の末の合格ゆえ感無量でした。もちろん大学出たての若い、頭脳明晰な人達にとってはおちゃのこさいさいの試験でも、憶えるより忘れる方のスピードが勝りつつあるおっさんにとっては、それなりに大変な思いの受験勉強でした。ここ数ヶ月は読みたい本も我慢して、「心理療法家と心理療法」「無意識の発見」「カウンセリングワークブック」などという教科書みたいなものばかり読む日々でした。それでも模擬試験を受けるたび、100点満点で47、8点しかとれず、元優等生としてはそれなりに落ち込んだり、勉強が出来ない劣等生の気分とはこういうものだったのか、などとおごり高ぶった感想を漏らしたりしていたものです。


 こんな思いをしてまでどうして大学院の心理を受けようと思ったのかというと、98年の調査で、日本人の自殺が3万4千人を突破、史上最悪となったという新聞記事がきっかけでした。交通事故死が1万人を超えると「交通戦争だ」と国を挙げて大騒ぎをするのですが、自殺の方は知らぬ間にその3倍を軽くクリアーしてしまった。なのに国は大慌てで対策を、という声も聞こえてこないのです。しかも増えた自殺者の核となっているのは、不況による会社の倒産、リストラに狙い撃ちされている40代50代の中高年、すなわち私と同年代です。それでなくても、中高年は心理的に不安定な時期で、初老期ウツが発生しがちな年頃です。男女ともに更年期の不調を訴え始めるのもこの時期です。その世代に時代の一大変化のしわ寄せが集中的に襲い掛かれば心理的プレッシャーに押しつぶされるものが出てくるのは当然です。なのに国は彼らに向けての必要な心理的サポートをするつもりがないようです。この辺りについて、文句の一つもいいたい!と思っては見たものの、じゃあ具体的に何をどうするべきなのかについて、何の提案もできない自分に腹も立ち、「中高年の心的サポート」をテーマに勉強してみるか、となったのです。というのが表向き。
 今、大学や大学院は、少子高齢化対策で社会人入学を積極的に推し進めようという気運にあります。一方で仕事だ、子育てだとあくせくしてて気がついたら会社は定年、子供は巣立ち、おじさんやおばさんは、30年前の青春時代のように再び「僕って何?」とつぶやいたりする。遅れ馳せながらの自分探しの手助けや、今更ながらの自分磨きを考えた時「社会人入学」が魅力的に見えてくるなんてこともありそうです。すなわち生涯学習の現場に身をおいてみたいというのも大学院受験の大きな動機の一つでした。それに心理学といえば、クラスメートには美人が多そうですもんね。
 まあ、そんなこんなでこの4月から仕事に加えてキャンパス生活も始まります。詳細については今後をお楽しみに。

 ところで、例の、かんき出版から先月発売になりました私の本

「元気にしゃべる、めげずにしゃべる」
その第二回のサイン会が大宮で行われます。
 2月26日土曜日 昼の3時から4時まで。
大宮そごう八階三省堂。
  ゲストにはあの、文化放送本気でドンドンの大輪の華、超美人女子アナ、伊藤佳子さんも登場します。先着30人様には我々との3ショット写真プレゼントもあります。だからどうって事ではもちろんありませんが、是非ぜひお近くの方お越しになって下さい。もうそれこそ、大歓迎いたします。私はともかく、うわさの伊藤さんと握手できるなどめったにあるものではありません。おまちしております!!
(2000/02/24)


 【人生色々、人も色々】 (2000/01/21)
 テレビ朝日、スーパーモーニング「女の相談室」私が司会をするこのコーナー、この手の相談ものとしては異例の生放送である。
 普通はVTRを長時間回して、エキサイトしたところだけをつまんで、つなぎ、其の後モザイク処理、音声変換等をほどこす。このために収録スタジオ代金ばかりか、編集スタジオ代、編集スタッフ代金などに、大変なお金がかかる。

 生放送は、盛り上がる前に時間が来てしまったり、放送してはいけないような状況になったりという、不測の事態も考えられるというリスクがある反面、コスト的には非常に効率がいい。
「女の相談室」はコストパフォーマンスを重視しつつ、リスクを回避しつつ、おもしろいものをお見せしようね、というんだから、司会者は大変なのである。

 この種の番組で「やらせ」が取りざたされる事があるが、当番組のスタッフに言わせれば「ありえません。だって、そんなことしようにもお金が無いんだもん」
 担当スタッフは相談者を探しに街に出るんだそうだ。先日も、新宿の駅の側で、あまりに不幸せそうに見える親子を発見、思わず声をかけたところ、夫の身勝手さ、姑のいじめ、不十分な福祉制度、聞けば聞くほど彼女の身の上に同情がつのる。

 「番組で相談に乗りたいがいかがでしょうか?」

 というと

 「帰りの電車賃さえ出してもらえれば」

 ということですんなり取材に応じてくれたんだそうな。いまどき貧しさにこんなにも押しつぶされてしまっている人がいるという現実に圧倒された。

 さて、今日(2000/1/20)に登場したのは、20歳の家事手伝いの女性。15歳で知り合った彼との間で、2度の中絶、自殺未遂一回。
 何を言われても、どんな仕打ちを受けてもとにかく彼のお嫁さんになって、一緒のお墓に入るのが夢だという。
 ためらう彼に結婚を決意させるにはどうしたらいいか、という相談である。

 こういうと、よほどもてない、ダサい女の子が、分不相応な二枚目男にしがみついている図を思い浮かべるかもしれないが、彼女実はとんでもない美人だからびっくり。健康的で、グラマラスで、精悍な表情で、モデルか、レースクイーンのよう。六本木や渋谷を歩けばあっちからもこっちからも声を掛けまくられるタイプの女の子。そんな美女がなぜ、非行のため高校を2度も中退し、今は定時制高校に通い、アルバイトをしているがいつもピーピーしてる、頼りなさそうな、どうってことないそのへんにころがってるような男の子、しかも逃げ腰で無責任な彼に執着し続けるのか?

 相談ものの売りでもある、罵り合いや、泣き喚きも一切無い。彼女はただただ「だーいすき」「絶対結婚する」「彼のためならソープ嬢だってする」「彼って悪い事のできない人」とのろけまくるだけ。これじゃあまるで、顔にモザイクをいれた「新婚さんいらっしゃい」だ。
 もし視聴者が顔の隠しを取り払った彼、彼女を見る事ができれば、スタジオの我々が感じた驚きを共感してもらえただろう。

 さんざんにもてあそばれながらも「でもだーいすき、捨てちゃイヤ」と彼にすがり付かんばかりに言い続ける彼女は、山田花子似でも久本似でもなく、藤原紀香似の美女だというのを目の当たりにした我々の衝撃を、モザイクガラスのおかげでお伝えできないのが 歯がゆかった。

 相談ものの醍醐味は大立ち回りばかりではない。人生色々、人も色々、という深い世界をのぞかせてくれるものでもあるのだ。
(2000/01/21)

 【ミレニアムカウントダウン】 (2000/01/07)
 1999年の大晦日の夜、私は渋谷109前特設ステージを中心としたカウントダウンイベントの司会をした。
 22時あたりはまだ地面が見えるほどの余裕だったが、23時を過ぎる頃からみるみる人出が増え始め、NHKホールの紅白歌合戦が終わった23時45分ぐらいにはもう、ステージから見下ろすと109から渋谷駅一帯は、人の頭でぎっしり埋まり、一面黒い絨毯敷き詰めたようなものすごいことになっていた。

 いよいよ2000年に向けてのカウントダウン、

 私:「あと五分で1000年代とおさらばだー」

群集:「ぎゃー!」

 私:「悔いはないかー」

群集:「ぐわー!」

 私:「電気、ガス、水道、だいじょうぶかー」

群集:「ぎおー!」

 こんな狂気じみたやり取りを繰り返すうち、一分前、全国の会場と衛星生中継もつながり、ステージ上の若獅子太鼓ドラマーズの太鼓も加わり、空の上から取材のヘリコプターが何機も旋回し、

 私:「さあ、吉と出るのか凶と出るのかミレニアム、2000年まであと20秒、何を祈るかあと十秒だあ、9、8来るぞ!いよいよ、5、4、3、2、1、2000年!」

群集:「ぐえー!ドっカーン!!」

 まあとにかく、大歓声の中、風船は飛ばす、まではいいとして、立錐の余地もない中、駅の方では爆竹は鳴らす、花火は揚げるの大騒ぎ。まあとにかく大変な盛り上がりに、渋谷区長さんや来賓たちも「いいですなあ」と上機嫌。

 さあ、次は2000年を迎えた第二部、お相撲さんやJリーガーが次々登場して更に華やかに新年を祝おうぜー、といったところで待ったが入った。

「だれか駅の方の信号によじ登ってた若いのが落っこちてケガしたからイベントを中止せよという勧告が警察から出されたらしい」
 とのこと。

 イベントの責任者が青い顔をして警察、消防の担当者達と話し合っている。ステージ周辺は、人の数はものすごいが、これと言った混乱がある訳でもないから、まさか中止って事はないだろうと次の準備をしている所へ「中止決定!」だって。

 何言ってんの?イベント主催者の手抜かりで危険を招いたとか、混乱を引き起こした、引き起こす可能性が明らかだ、というなら分かるが、遠くで見ていた馬鹿が勝手に信号に上って勝手に落ちてケガした責任をどうしてとらなきゃいけないの?

 郷ひろみが勝手に道路の真ん中で歌いだしたのと訳が違って何ヶ月も前から周到な準備を重ね、決められた場所で、決めらたルールをきちんと守り、整然とイベントをとりおこなった人達がどうして「はい、もうやめやめ、撤収、撤収」なんていわれなきゃいかんの?

 調子にのった頭の悪い馬鹿が、周りの山姥ねーちゃんかなんかにいいとこ見せようとして、信号よじのぼってケガしたとしてもそれこそ誰が悪いのでもない、のぼったやつが悪いわけで、それこそ自業自得。死んだって誰にも文句の言えた義理はない。

 しかし悲しいかな、自己責任という考えが発達していない、お上依存体質の日本国では、「主催者はなにしてた!」「警備の警察は責任取れ!」「国家賠償請求しろ」などと馬鹿な事を言うやつが必ず出て来る事を見越して、事勿れ主義の警察が「何はともあれ辞めときましょうや、世間の批判は懲り懲りですんで」という事に違いない。

  ふざけるな!と言いたい。

 この国の成熟はまだまだ先の事になりそうだと思わずにはいられないミレニアムカウントダウンであった。
(2000/01/07)

 【宣伝広告】 (1999/09/19)
 病院や医院の宣伝広告って見たことあります?
 電話帳で「病院」の欄を見ると、ほー、結構載ってるんですね。しかし良く見ると、どれも、「病院の名前」「所在地住所、電話番号」「診療科目」「診療時間」しか書いてなくて、どの病院、どの医院がどの分野で優秀なのか、そこの医者はどんな経歴で、何の学会に所属して、得意なのは外科手術なのか、呼吸器なのか、消化器なのか、皆目見当がつかない。その医療機関の「売り」が全く見えてこない、味も素っ気もない広告で、これでは、自分の症状に相応しい良い医療機関を選ぶ手がかりとしてはあまりに不十分。「どうにかならないのか!」と思ったら、

 「医療法69条で、必要最低限の情報しか載せてはいけない事になっているので、例の電話帳のような、どれも同じ中身になってしまうんです」

 と厚生省の役人が答えてくれた。

  広告に、写真を使ったり、医師の顔写真を入れたり、其の経歴、「気軽にどうぞ」というような、客引きに繋がるような言葉、特定の病気や治療に関する情報、特定の部位を対象にした検診や健康相談など、これらすべてダメ。
 要するに、広告から、その医療機関の姿勢や能力を少しでも知らせようという意図が感じられるものは御法度ということ。いってみれば、患者の知りたい事は載せてはいけませんという、いかにもとんちんかんな規制なのである。

  「どうして?」という私の素朴な疑問に、さっきの厚生省の役人と、医療審議会のメンバーである東海大医学部長の黒川さんは、

 「一般の人が医療広告を見るときは、他の、例えば洋服買おう、車を買おうという場合に比べて、はるかに緊急で切羽つまった状態であり、見るものへの影響力は格段に大きい。そこにある情報の一言一言に極めて強く反応してしまう。胃がんの名医、アレルギーに強いなどの宣伝文句に翻弄されて冷静に医療機関を選べなくなる恐れがあるので、あまり具体的な情報はいかがなものか」

 という話だ。
  ちょっと待ってくれ、せっぱ詰まって、切実だからこそ、情報が欲しいというのに、なまじ素人に知らせると混乱するばかりだから、知らせない方が親切だ、というのは医者のあまりのおごりじゃあないか?日本医師会の宮坂さんという理事は、
 「情報があると素人が自分で診断の当たりを付けて病院を選んでしまう。まず町の医者に行け」
 というが、そもそも町医者の看板には、内科、小児科、外科、呼吸器か、皮膚科とずらーっと科目が並べられているばかりで、本当のところ何が専門なのかも分からない。
 「一番最初に書いてある科目が得意分野というのが一般的なんですよ」
 とあるお医者さんがいってたけど、そんな情報開示ももこの世界していないし、しない方が患者の為だと言い張るのだ。

  しかし其の一方でインターネットには、どの病院のどの医者はどの大学を出て、何の学会に所属して、どんな病気のどんな手術を得意として、成功率はどのくらいかというあたりのいってみれば広告が山のように、どうどうと掲載されている。

 「いやあれは、広く一般に向けられて広告ではなく、患者が勝手に電話をかけて情報集めをしているたぐいなので、広告ではないんです」
 と厚生省はいっている。

  現実には医者選びの情報源として機能しているインターネットはそのままに、広告だけを厳しく取り締まる意味があるのか疑問だ。
  また、整形美容でお馴染みの十仁病院などは医者の写真だの、しわのばしに定評があるなど堂々と広告をうっているような気がして、梅沢院長に訪ねて見ると「うちも69条できっちりしばられてるんです。でも確かに、うちの病院の医師の顔写真経歴、得意技、しわのばしが上手いの、豊胸が巧みなのというのをごらんになっているはずですが、あれは病院の広告ではなくて、病院の事を載せた本の宣伝広告なんですよ。本の宣伝はこれはもう表現の自由ですからいくらでも出来るんですよ。また、テレビなんかのも宣伝じゃあなくてあれ番組ですからね、まあ、抜け道ですよね」

 とみずから抜け道だとおっしゃる。

  また、最近病院によっては所属医師の一覧と経歴、得意分野を掲載したチラシを、広告ではなく資料として配布している。患者は、少しでも良い医療機関を選びたい。現実はそれにこたえてドンドン情報を提供しはじめている。
 そんななかで「医療広告」だけが建前の規制を続ける事はそろそろ難しくなっているのはたしかだ。
 今後は、其の情報の中身をいかに嘘がないかをチェックする方向しかありえないと確信した。
(1999/09/19)

 【通り魔事件】 (1999/09/10)
  「池袋で通り魔殺人」のニュースが飛び込んできたのは9月8日、ラジオの本番中、昼の12時前後の事だった。
  「こんなことに巻き込まれて被害に遭った方はほんとにたまらないなあ」と思うのと同時に「またどうせ、覚醒剤野郎のフラッシュバックか、頭の変なやつか、未成年者か、とにかくどうせ名前も顔も報じられず、責任能力もなしなんてことで、行き場を失ったマスコミは、無防備な被害者宅や遺族を追っかけまわすことで時間を埋めようとしちゃうんじゃないか」と言う心配が頭をよぎった。

  今のテレビや新聞は、加害者の人権第一主義でなにかあるとすぐ集団で訴えてくる”人権派弁護士軍団”に恐れをなして「薬物中毒歴、精神科通院歴」なんて雰囲気がちらっとでも見えよう物なら加害者については一切ほっかぶりをきめこむ。
 未成年なんて事になりゃあ問答無用のマニュアル対応。これに異議を唱えた新潮45は殺人犯に訴えられて多額の損害賠償を払えと命じられ、みんな触らぬ神にたたりなし状態だ。

  ところが今回の犯人は、あんなに異常な行動に出ながら、黄門様の印篭たるべき、覚醒剤経験も、通院歴もなく、しかも20歳をすぎていたというんで、ワイドショウもこれまでのうっぷんをはらさんといわんがばかりに、名前を連呼し顔写真をアップにし、彼のアパートの部屋の中までカメラで覗き、親戚のおばさんの家にみんなして押しかけた。

  まあ、ほどなくおこなわれる精神鑑定で、「病気」と判定されたりするとまた、実名、顔出しが出来なくなるので今のうちという思いもあるかもしれない。しかし、顔を出しても手錠にはモザイクを入れるというのも、これまたわざとらしい。

  要するに、マスコミ報道は、人権に配慮というより、人権を声高に言う人達に突っ込まれると面倒だから、お約束のマニュアル対応で、というのが本音のように見える。

  一見衝動的な犯行に見えたこの事件、其の後の調べで、犯人は事前の準備を用意周到に行っていたという話も出てきているようだが、「通院歴」を用意していなかったのはうかつだったと言えるかもしれない。
(1999/09/10)

 【聴取率お調べ週間 】 (1999/08/16)
  明日からの2週間、たまたまラジオを聞いた方は、そのサービス過剰ぶりに驚いたり、辟易したりすることだろう。
 「合い言葉で5万円」「賞金10万円川柳大賞」「1000万円買い物クイズ」とバンバンお金はばら蒔く、「長島監督独占緊急 生出演!」「宇多田ヒカルが!グレイが!スマップが!」と、「!」や「独占」「スペシアル」のという表現が乱発される。

  2ヶ月に1度の恒例、ラジオ聴取率お調べ期間が始まるのだ。 テレビではビデオリサーチとニールセンが毎日機械を使って出している視聴率、ラジオは偶数月の第2週と第3週だけ、数百人に用紙に記入してもらう手作業方式でどの局のどの番組を聞いたのか を調査する。

  この数字で、スポンサーがついたり離れたり、番組が続いたり終わったりするから各局ともそりゃあ必死になる。テレビが4月、 10月前後の改編期に期首特番を組むように、ラジオも局によって は通常番組をやめてスペシャル番組をぶつけてくる事さえある。

  かつて深夜放送で、今は大変にビッグになった某お笑いタレントさんに「スイマセン来週はこの番組お休みになりました」といっておいて、実はお調べの日だけ当時人気絶頂の沢田研二を起用した、なんてことがあったそうで…。それを知った某氏は激怒、その局には2度と出るもんか、という信念を今も貫いているという話であります。

  普段は手を抜いて、調査の日だけお金も力も注ぎ込むというなら客を馬鹿にした話だし、「いや、そんな」というならいつもどうりで正々堂々闘うべきだろう、というのが正論だろう。
  実際、番組を作ってる側も、いつもと違ったことをやることで数字を上げる効果があるのかあったのかの確証を持っているわけでもない。「他局がやってるのにうちだけ何にもやらないわけには行かないだろう」という日本的横並びの発想も否定できない。

  ところでこのレイティングの数字、ラジオの場合はテレビの15%だ20%だというのから比べると一桁ほども低く、2%とれたらまあまあで、3%とろうものならおおいばり。0.2%負けた、0.3%勝ったで大騒ぎという世界だ。
  しかし、ザッピングでより面白い番組を選択していくテレビとちがって「この時間はこの局のこの番組」という聴取習慣が崩れにくいラジオの場合は、このわずかな差を乗り越えるのが思いのほか大変だ。だからこそ2ヶ月にいっぺんのこの時をチャンスと頑張らないわけには行かないともいえる。

  其の日のニュースを素材に展開する番組の性格上、お調べ期間だと言っても事前に特別な仕掛けの出来にくい「梶原しげるの本気でドンドン」、前回はめずらしく気張って、入手困難、話題のファービーちゃん人形プレゼントで勝負をかけたが、 効果らしきものはなかったなあ。
(1999/08/16)


 【人生相談】 (1999/08/10)
  月に一回、ラジオで、遠藤誠弁護士と人生相談をやっている。
 「ほんとにお気の毒に」と、相談者に対し心から励ましたくなる ものより、最近は「ちょっとなあ」と考えちゃうのが多い。


 「結婚5年、子どもは4歳の女の子一人。とりあえず平穏無事な 家庭なんですが最近女房を生理的に受け付けなくなっちゃって、 まあ、きらいになったということですね。でも、子どもはすごくかわいい。妻と別れて子どもは手元に置きたいんですがどうしたらいいでしょうか?」というご質問。

  ここまで聞いただけで、弁護士の法律論聞く前に、「そりゃ無理だろう」と誰でも思うが、ここで説教たれるのが当番組の趣旨ではないので「なるほど、奥さんは何か、特別に、とんでもない人で、どうしても許せないってことがあるんですね?」ときいて見る。

 「いやあ、てゆうかあ、やんなっちゃったんですよね。」
 「ということは、ほかに好きな人が出来た?」
 「はい…」
 「ほうほう。どんなひと?」
 「ずっと大人で、きちんとした、賢い人。」
 「ひょっとして、人妻だったりして?」
 「はい。年上の夫も子どももいる、ちゃんとした方です。」
 「なるほど、そのきちんとした方と結婚するにはどうしたらいいですかということですね?」
 「ええ、かわいい娘を引き取ってということも含めてです。」
 「はあ、はあ、そんことが可能かどうか、弁護士にきいてみますか、ね。」

  と、遠藤弁護士に話を振ると、仏教徒で、日ごろから不邪淫戒を説き、不倫するやつは叩っ切れという持論の弁護士、ここまでの私と相談者のやり取りで怒りは頂点に達していたんでしょう。

 「あなたのような勝手の限りを尽くす、獣(けだもの)を守る法律はこの世に存在しない!離婚が認められないのはもちろん、あなたに親権が認められることもありえない。それよりあなた、人妻さんの夫から損害賠償請求されるよ。うーん、額は、200万から300万、さらに妻自信からもだねえ。」

  怒りに震え調子の上がる弁護士に恐れをなして相談者、
 「分かりました、すいませーん…」
 と電話切っちゃた。悪い人じゃなさそうだったけど、ちょっと人生甘く考えてるかなあという30代のノー天気な夫であった。

  このほか、20代半ばのOLさんから、

  不倫してた上司が会社の金を使い込んで会社をくびになった。
 私は今は別の彼とつきあってて、結婚してもいいかなぁなんて気持ちもあるんだけど、その元上司からは今でも「金貸して」と言われる。彼は妻子にも使い込んだこともくびになったこともいえないような心優しい人なのでかわいそう。
 お金貸してやるべきだろうか。でもあうとまたエッチしちゃうし、どうしたらいいですか?

 という相談…。
 「それはお困りですねえ」と言って根掘り葉掘り聞くのが私の役目。仏様の直弟子、慈悲の心を広め続ける弁護士が思わず、キレる。なかなかな名コンビだとの声もあります。

 よろしければ毎月第1木曜日午前11時、ラジオのダイヤルを文化放送にあわせて見てください。
(1999/08/10)

 【半疑問イントネーション問題】 (1999/04/09)
 4、5年前からでしょうか…
「私、コンビニ?行って、ドリンク剤?買って飲む?みたいなあ おやじっぽい?趣味?っていゆうかあ、、、」
 (語尾を持ち上げる調子を、下から上へ向う曲線の矢印にしたいのですがそのマークがないので、「?」で代用)

 文の途中で語尾を上げるしゃべり方が横行しはじめたのは。

 私の記憶によれば、FMラジオに登場する、日本語に自信のない帰国子女が「この場合この言葉で合ってますかね?」と、しゃべる相手にお伺いを立てつつ、おどおどしゃべるスタイルが始まりで、その連中の周りのモデルからタレント仲間に伝染、彼女たちと接触するチャンスの多い代理店やテレビ局の若い男たちを巻き込むうちテレビ中がこれに汚染されるなかで、一般の若い人達まん延。

 最近では、野球解説のおやじの中にも「そうですねえ、松坂の立ち上がりがいい?ていうかあ、球が走る感じ?そのあたりが見どころ?」とさかんに半疑問を繰り返す馬鹿がいる。

 解説者がいちいちアナウンサーにお伺いを立ててどうするんだ!そんなに自信がないんなら解説止めろ!と怒鳴りたくなる。多分、六本木のクラブのおねいちゃんと付き合ってるうち伝染っちゃったんだろう。しょうがないやつだ。

 もっとびっくりしたのは、なんと労働省の役人がこの半疑問を連発したことだ。新しい雇用機会均等法施行にあたり注目のセクハラ防止法について「これを破った事業主への罰則は?」というきわめて単純な質問に、広報担当は、

 「罰則?とか、強制?とかじゃなく?努力目標?というか?意識改革?みたいな部分?」

 おいおい、聞いてるのは、こっちだっていうの。

 国民に知らせる義務がある官僚がこれを使ったら世も末でしょう。

(1999/04/09)

 【一歩近づいている? 】 (1999/03/26)
 「桂枝雀さん首つり重体」
 このショッキングなニュースを伝える新聞記事に腹が立った。
 「大げさな表情と派手なアクションを売り物に笑いをとるスタイルでブームを巻き起こした」

 名人枝雀は、げてものってか?

 たしかに表情、身振り手振りも人並外れてユニークでおもしろかったけどそれ以上に話そのものが天才的に面白かった、という事実を伝えていないと言う点でこの記事はペケだ。書いたのが社会部に記者だからというのはいいわけにならない。
 一時期レコードを集めて何度も何度も耳から聞いて、そのたびにおお笑いしてた。絵がなくても十二分におもしろかったんだぞ。

 「しじゃく」を変換すると「四弱」になって、「えだすずめ」と入れないと「枝雀」にならないっての、日本を代表する天才芸人に失礼だ!とこれまた腹立たしい。

 しかし、枝雀さんみたいに才能が花開き、確固たる地位を築き、名声は国内ばかりか外国にも響き渡り、立派な3階建ての家に住み、お金の心配も無く、というひとがどうして鬱状態に入り死のうとまで思いつめるものなのか。

 ローンと食べ盛りの子供かかえて、かたたたかれて、リストラで、年も50近くて、次の勤め先が無くて、貯金も底を突いてというのならわかるけど。

 伊丹監督のときにも言われた、初老期うつ病というやつか?

 伊丹さんや枝雀さんのような天才とは全く事情が違うのだが、私にも時々鬱っぽいムードがじわーっと込み上げてくることがある。今、私、48歳、初老期鬱の入り口にいるせい?

 先日、インターネットで見て、安くて便利そうと言うだけの理由で泊った大阪のホテルが、心斎橋アメリカ村のまんなかにあった。東京で言えば原宿か、渋谷センター街かという、若い人しかいない町。

 土曜日夜9時過ぎ。一人食事をする場所探して歩いたらそりゃあ15、6歳からいってて22、3までの若い男女ばっかりわーわーたむろしてる。

 入ってみたいなあと思わせるしゃれたレストランやコンビニの前でしゃがみこんだり抱き合ったり…
 ホテルでもらったイラストマップを眼鏡はずして(老眼が始まってるので)必死に見ようとするこのおじさんに若者の群れがバンバンぶつかってきて、なかには舌打ちする奴までいる。おれはそんなにじゃまか?

 「むかしはこういう所、得意だったんだけどなあ。今は、ここに、俺みたいなじじいの居場所はないんだよな」
 と、やけにさびしくなっちゃった。

 同年代ならポンビキやホームレスでも連帯(こんな言葉がそもそもじじいなんだけど)出来るような気がした。

 なんて、どうでもいいこと書いてるところへ(そうだ、今日はNATOのユーゴ空爆についてとおもっていたのに…)

   「上月晃さん死去」

 58歳。ゴンちゃん、宝塚男役で一時代 という夕刊の報にショック。

 「独特の節回しのある歌と、エネルギッシュな舞台でみとめられ、宝塚初のブロードウエイミュージカル、「オクラホマ!」にも主演。70年秋に「ザ・ビッグワン」で退団。」と言う紹介と、同期の、甲にしきさんのコメントも入れ、とても哀しいことだけど、きちんと書かれていたのにちょっとだけ救われた…。

(1999/03/26)

 【都知事選スペシャル】 (1999/03/25)
 おかげさまで2日間にわたった本気でドンドン「都知事選スペシャル」も無事終了しました。
 番組宛てにEメールをたくさん頂きましてありがとうございました。実はEメールを募集したのは、なにを隠そう今回が初めてでスタッフ一同半信半疑だったのですが、各候補への的確な質問がびしびし入っていて感激いたしました。
 番組作りのツールとして十分力になることがあらためて確認できました。

 明日が都知事選の告示ということで、実質的に候補者の生の声をテレビラジオで聞けるのは今日が最後となってしまいました。
 無党派層が多く投票日直前まで誰にいれようか決めかねる人が多い東京。
 しかも選挙区が広いので直接候補者と会って政策を聞いたり、人柄にふれたりというのもなかなか難しい都市部では、2週間も当事者たちの声や顔を、メディアを通して聴いたり見たりできないのではせっかく盛り上がった選挙への関心も醒めてしまいかねません。

「告示期間中はとりわけ候補者の扱いを平等にしてもらわないと」

 という選管のいうとおりに番組を作ると、今回立候補している20人ほどの人(そう、今回多くの立候補があったんですね。選挙の掲示板見ればポスターのスペースが、人数分の20マスほど用意されてますもんね)全員に同じ時間を与え、同じ質問をしていけということになりかねず、これじゃ番組にならないだろう、というのが各局の考え方です。
 この期間は、例の、政見放送だけでどうぞ、というのが選管の考え方なのですが、一部のマニアを除けばあまり喜んで見たり聴いたりする人もいないでしょう。

 今回我々の番組では、明石、石原、柿沢、鳩山、舛添、三上と言う御馴染み6候補に加えてあのドクター中松氏にもご登場いただいたんですが…うーん…。

  「テポドンから日本を守る発明が完成した。」

 とおっしゃるので「どのような?」とたずねると、「上空高くつかまえて180度向きを変える方法です。こうすれば発射地点がこっぱみじんです。」
 なんてことを真顔で(電話なので実際は顔を見てはいないが)おっしゃる…
 うーん。

 有力と泡沫の区分けて立候補者の機会均等の原則を破るべきでないと言う建前はわかるが、告示前に、選管が予備アンケートの様なものを実施して、少なくとも事前支持率1パーセントを割るような候補者については政権放送以外の番組に出す出さないをメディアの良識に任せたらどうか。
 そのことのほうが投票する側の利益に繋がると思うのです。

 現実には、今回も、告示後の選挙を伝えるニュース画面には、候補者の手のアップやピントをぼかした風景ばかりが映されるのでしょう。

 この時期に、たまたま日本にきた外国人が「日本のテレビ局のカメラマンはなんてへたくそなんだ」と言う印象を持って帰らなければいいのですが。(笑)

(1999/03/25)

 【男のロマン】 (1999/03/24)
 「男のロマン」てなんなの?競馬で損ばかりする男、分不相応の女性に振られ続けながらも懲りない男、ワールドカップサッカー見に行きたいぐらいであっさり会社やめちゃう奴、何度もネズミ講に誘われその度にその気になっちゃう人。「男のロマン」て、その言い訳?
 彼らは「男の美学」や「生きざま」って言葉も大好きでしょ。どっちもしくじった時の言い訳にもってこいの言葉よね。
 自分を、現実から逃げまくっている弱虫じゃなくて、夢を追いかける純粋な人と買いかぶっている。

 この「男のロマン」に付き合わされて、何人の女達や子供たち、仲間たちが痛い目にあってきたことか。

 「援助交際」は「売春」と、「いたずら」は「強姦」と、正確に表現すべきなのと同じく「男のロマン」などと寝ぼけた言い方をやめて、すっきり一言「ばか」でいいじゃない、と言い放った女性。「男のロマン」の被害者の一人らしい。

 しばらく会ってないけれど、彼女が鳩山邦夫都知事候補の選挙事務所に掲げられた「東京ロマン夢会議」の垂れ幕を見ての感想をきいてみたい。

 アイデアも実行力もある鳩山さんが、具体性的な政策もさることながら、「ロマン」という、イメージで女性にアピールしようとする作戦は成功するのだろうか?

 ロマンアレルギーの女の人、けっこういるから、ちと心配。

(1999/03/24)

 【おくればせながら初体験】 (1999/03/18)
 13時に四谷でラジオの仕事が終わって、次が16時、渋谷で打ち合わせ。移動や昼食の時間を除いても2時間の空き時間。
 そこでとりあえず新宿へ出て、今やサラリーマンの暇つぶし先No.1とうわさの漫画喫茶というところへ。
 これが初めてのことゆえ、なじみの見せがある訳も無く、この辺に行けばと当たりをつけたのがまもなく閉館する三越南館辺り。見上げると、おお、あちらにもこちらにも、こんなにあったのか!なかでも通りにしっかり看板を出している、一階がマクドナルドのはいっているビルの7階にあるコミックスターと言う店に決める。

 ここが我が人生における漫画喫茶初体験の場になるのかと思うと身の引き締まる思いだ。か?

 エレベーターを降りると銭湯の番台のようなところでまず、基本料金1時間分消費税込み475円を支払い、入場時間のプリントされた伝票を渡される。

 左喫煙席、右禁煙席、その間を雑誌・新聞・写真集コーナーが仕切るようになっている。空いた隙間はぎっしり約2万冊ほどの漫画。大きく出版社別になり、そのなかでさらに作者別に分類している。
 へー、大手出版社軒並みいっぱい漫画だしてたんだあ。

 30坪ほどの店内、に20人ほどの客。20代のサラリーマン風と、学生風。喫煙席には女子大生風も何人かいた。コーヒー、紅茶、ジュース等飲み物はセルフサービスでただ。食べ物も持ち込みOKということで、したのマックでハンバーグを買い込んできている学生がいた。

 みんな独りで来ていて、暇つぶしと言うより漫画研究者であるかのように一心不乱と言う感じで集中している。頭のどこかにタクシーメーターみたいなのが点滅していて、時間が過ぎる度に支払額がかさんでいくのだ、きっちり元を取るつもりで読むのだ!という迫力の感じられる読み方だ。

 このあたりが、何時間いてもただだから、机の上にかばんのせて席取りしておいて、喫煙室で友達とぺちゃくちゃ時間潰してるなんていう公立図書館なんかとえらい違いだ。

 「コスト意識」というものは人の集中力を高め、作業の効率を上げるものだと実感する。

 さて、私はといえば、どれから読もうと言う漫画への知識も覚悟も無いまま、あっちの棚こっちの棚わたりあるくばかり。これではお金と時間が無駄になると、雑誌の拾い読みで元を取る作戦に切り替えた。今度くる時は、マンガ通にお勧めをきいておくべきだろう。

 あっと言う間に気が付くと1時間45分経過。伝票もって番台に行き45分の追加分税込み315円払って店を出た。
 初体験の記録は、1時間45分、790円、週刊誌3冊、西岸良平半分、コーヒー一杯、おしぼり一本。以上。

 まあまあのコストパフォーマンスであった。

(1999/03/18)

 【都知事選候補】 (1999/03/17)
 都知事選告示直前の3月23日(火)24(水)の2日間、文化放送梶原しげるの本気でドンドンでは「候補者にぶつけるぶしつけ質問大会」(仮題)を放送します。
 告示後は、候補者を集めての討論会はもちろん、徹底して中立性を守ろうとばかりに、テレビや新聞でも候補者の顔さえ映さない状態になってしまうので、これが投票前の候補者たちの、一番フレッシュな生声となります。
 経済はじめガタガタになってしまった東京を救えるのは、誰なのか、又は、これ以上悪くしない可能性のあるのは誰なのか、そのあたりをあなたの鋭い質問をぶつけて、各候補者の本性をあばきだしましょう。
 本欄、または文化放送のホームページへアクセスしてメールをお送りいただければ幸いです。

 ところで、今回は各候補者がさかんにテレビ討論に登場したのはいいことでした。立候補者が東京の何をどう変えたいのか、変えたくないのか、自分はどんな人間で政策は何なのかを、短い時間でわかりやすく説明する能力がためれました。

 最初の頃は、柿沢、鳩山、野末、舛添、三上の五人組がときに和気あいあいの一座を組んでテレビ局周りと言う感じだったのが、自民党が明石候補を繰り出した頃から盛り上がり、「都知事公邸売却する」あたりから始まったの話が、財政再建にはまだ生ぬるいと、「都庁を半分、民間に貸し出せ」「いや、売り飛ばせ」「私なら都の職員4万人減らします」「私は半分にします」と、人減らし公約合戦。

 「ならば、生首切る(首きり)勇気があるのか?」という踏み絵を、挑発の名人田原総一郎さんにせまられ、労組に気を使う三上候補、苦しく反論したり。

 「みなさん口々に言う財政再建とは歳出カット。と言うことは福祉も切り捨てってこと?」という田原氏の責め方を熟知してる舛添さん、「いや逆なんです。福祉や、老人介護を手厚く充実させることこそが、景気を浮揚させ、歳入を増やし、財政再建させることになるのだ!」と、共産党顔負けの福祉優先、老人路線を説き、自らの介護体験を120パーセント利用、いや生かしてポイントを稼ぐ。

 一方、鳩山候補は、東京にロマンを、緑を、環境をと、悪代官のようなと評される風貌を裏切る、女性受けするスローガンで鳩派ムードを売る。

 自民党を飛び出して、負ければ後が無い柿沢候補は危機感をバックに、熱意と実績を売りにしながら、実際、東京から電信柱をなくそう、通勤地獄を解消するための、環状線交通機関の整備、歳入歳出についても具体的に述べ「政界渡り鳥のイメージよりずっとたのもしい感じがする」との評価もではじめるが、「あいかわらず開発一辺倒の土建屋発想だ」と三上候補の反撃もうける。

 そんな中、カンボジアPKOのヒーロー、明石さんは、「国連の事務次長ってほんとはナンボのものなの?」などというあけすけな質問や、40年ぶりの日本ということもって、速いテンポについていけず、オロオロといった印象は否めない。

 早い話が「朝生」はじめテレビ慣れした舛添、柿沢、野末候補あたりがさすがテレビをうまくつかって議論を有利に進めていたのが、野末候補が降り、舛添候補の応援に回りいよいよ舛添氏有利と思われたが、ここで栗本議員との喧嘩別れがイメージダウンの恐れ、といったところで、真打ち登場とばかりに、石原慎太郎候補参戦。「横田基地をアメリカから取り戻す」、(「そうだそうだ」と三上候補も元気づく)「支那が、支那が」と話は都政の枠を飛び越えてエキサイト。舛添候補、石原候補の弱点を突こうと、得意の老人介護問題で引っかけようとしたのに石原候補激怒。

 ソフトムードが定着しかけていた舛添候補、鷹派の論客ムードが甦ったところで、ゲストから、「都知事としての品格がいかがなものか」と暗に女性問題を指摘され、切れまくった顔がお茶の間に流れ、「やっぱ、こわいなあ」の主婦の声。

 以上はあくまでも梶原が、テレビ討論の一部を垣間見ての印象をつづったすぎないのですが、今回ほど各候補がテレビやラジオに登場し、正々堂々政策を述べ合った選挙も無かったのではないでしょうか。必死になって一般市民に分かりやすく語ろうと、言葉を尽くして渡り合う候補達。これは我々にとって大歓迎です。

 何を言ってるのかさっぱり分からない官僚言葉を駆使して、役人や政治家は、どれだけ我々をケムに巻き、この国に不利益を与えてきたか。候補者にとって、テレビやラジオと言うメディアでディベートをし、わかりやすく公約を述べてしまうことは、「そんな事は言わなかった」との当選後の言い逃れを許してもらえないというリスクを背負い込むことになります。

 きちんと説明できる人はきちんと責任を取る人。今、あらためてリーダーに「説明能力」が求められているのです。

(1999/03/17)